むかし、おとこありけり。わらはよりつかうまつりけるきみ、御ぐしおろしたまうてけり。む月にはかならずまうでけり。おほやけの宮づかへしければ、つねにはえまうでず。されど、もとの心うしなはでまうでけるになむありける。むかしつかうまつりし人、ぞくなる、ぜんじなる、あまたまいりあつまりて、む月なれば事だつとて、おほみきたまひけり。ゆきこぼすがごとふりて、ひねもすにやまず。みな人ゑひて、雪にふりこめられたり、といふを題にて、うたありけり。
おもへども身をしわけねばめかれせぬゆきのつもるぞわが心なる
とよめりければ、みこいといたうあはれがりたまうて、御ぞぬぎてたまへりけり。
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