むかし、心つきていろごのみなるをとこ、ながをかといふ所に、いゑつくりてをりけり。そこのとなりとなりける宮はらに、こともなき女どもの、ゐなかなりければ、田からむとて、このをとこのあるを見て、いみじのすきものゝしわざやとて、あつまりていりきければ、このおとこ、にげておくにかくれにければ、女、
あれにけりあはれいく世のやどなれやすみけむ人のをとづれもせぬ
といひて、この宮にあつまりきゐてありければ、おとこ
むぐらおひてあれたるやどのうれたきはかりにもおにのすだくなりけり
とてなむいだしたりける。この女ども、ほひろはむといひければ、
うちわびておちぼひろふときかませばわれもたづらにゆかましものを
Copyright © 2000 by the Japanese Text Initiative, Electronic Text Center, University of Virginia(http://etext.lib.virginia.edu/japanese)