むかし、おとこ有けり。うらむる人をうらみて、
とりのこをとをづゝとをはかさぬともおもはぬ人を思ふものかは
といへりければ
あさつゆはきえのこりてもありぬべしたれかこのよをたのみはつべき
又、おとこ、
ふくかぜにこぞのさくらはちらずともあなたのみがた人の心は
又、女、返し、
ゆく水にかずかくよりもはかなきはおもはぬひとをおもふなりけり
又、おとこ、
行みづとすぐるよはひとちる花といづれまてゝふことをきくらむ
あだくらべ、かたみにしけるおとこ女の、しのびありきしけることなるべし。
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