むかし、おとこありけり。ならの京はゝなれ、この京は人のいゑまださだまらざりける時に、ゝしの京に女ありけり。その女世人にはまされりけり。その人、かたちよりはこゝろなむまさりたりける。ひとりのみもあらざりけらし、それをかのまめおとこ、うちものがたらひて、かへりきていかゞおもひけむ、時はやよひのついたち、あめそをふるにやりける。
おきもせずねもせでよるをあかしてははるのものとてながめくらしつ
Copyright © 2000 by the Japanese Text Initiative, Electronic Text Center, University of Virginia(http://etext.lib.virginia.edu/japanese)