むかし、おとこ、むさしのくにまでまどひありきけり。さて、そのくにゝある女をよばひけり。ちゝはこと人にあはせむといひけるを、はゝなむあてなる人に心つけたりける。ちゝはなお人にて、はゝなむふぢはらなりける。さてなむあてなる人にとおもひける。このむこがねによみてをこせたりける。すむところなむ、いるまのこほり、みよしのゝさとなりける。
みよしのゝたのむのかりもひたぶるにきみがゝたにぞよるとなくなる
むこがねかへし、
わが方によるとなくなるみよし野ゝたのむのかりをいつかわすれむ
となむ。人のくにゝても、猶かゝる事なむ、やまざりける。
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